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解説

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映像クリエイター、雨宮慶太。『ゼイラム』(91)『タオの月』(97)『牙狼<GARO>』シリーズ(05~)などの監督としてのみならず、イラストレーター、キャラクターデザイナーとしても一作ごとに注目を集め、常に時代の先を行く独創的な世界観は海外のファンをも魅了する。そんな彼が今回モチーフに選んだのは、なんと日本古来の“妖怪”。ろくろっ首、ぬり壁、カラ傘、猫目など、誰もが知っている異形の存在を大胆不敵にビジュアル化。ただ、これらの持つどことなくユーモラスなイメージは払拭され、全く新しいキャラクターとして生まれ変わり、人々を戦慄させる。新しいけれどどこか懐かしい、美しくも恐ろしいモンスターたちと人間との戦いを描いたネオ・サイバー・ホラーが、この『ROKUROKU』である。

子供の頃仲良しだったミカと久々に再会するOLのイズミ。しかしふたりはあるホテルに閉じ込められ、異空間に迷い込んでしまう。そこで彼女たちが見たものは? そしてふたりが長い間封印してきた“約束”とは…? このメインストーリーを軸に9つのエピソードが挟み込まれるオムニバス形式で展開され、やがて物語がひとつにつながったとき、血の凍る恐怖と衝撃が観る者に襲いかかる。

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予期せぬ戦いに巻き込まれるイズミ役に『喰女 -クイメ-』(13)『東京ウィンドオーケストラ』(16)の中西美帆。その友人・ミカ役に「仮面ライダーフォーゼ」の志保。彼女たちを毒牙にかける“ロクロク”役に『絶狼<ZERO> –BLACK BLOOD-』(14)の野本かりあ。またイズミの母に『ナースのお仕事 ザ・ムービー』(02)の伊藤かずえ、イズミの祖父に『ロボジー』(11)のミッキー・カーチスといったベテランが脇を固める。さらに各エピソードには『高校教師』(93)の遠山景織子、『苦役列車』(12)のマキタスポーツ、『泪壺』(08)のいしだ壱成、『全員死刑』(17)の落合モトキ、『受難』(13)の岩佐真悠子、『最低。』(17)の佐々木心音、女性アイドルグループの妄想キャリブレーションなど豪華なキャストが顔を揃える。監督は『魁!!クロマティ高校』(05)や『珍遊記 –太郎とゆかいな仲間たち-』(16)など、実写化がありえないコミックを見事に映画化してきた鬼才、山口雄大。

すさまじいスピードで発展を遂げた現代社会。しかし人々は本当に幸福なのだろうか。そんな今を生きる人々の不安や恐れにつけ込むかのように闇から姿を現す怪物たち。『ROKUROKU』は圧倒的な映像美と高いエンタテインメント性に貫かれながらも、日常に潜む恐怖を強烈にあぶり出す。

©2014 雨宮慶太/ロクロク製作委員会