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物語

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実家暮らしのOL、イズミ(中西美帆)。どちらかと言うと地味で真面目な生活を送っている彼女の最近の悩みは、同居する祖父の仁蔵(ミッキー・カーチス)の存在。どうやら認知症を患っているらしく奇行が目立ち、母のヤヨイ(伊藤かずえ)の目を盗んでは姿を消してしまう。しかも何かに対して執拗に怯えているようだ。

ある日、イズミのもとに一本の電話がある。かけてきたのは幼なじみのミカ(志保)。ここ数年連絡をとっていなかったふたりは、久しぶりに会う約束をする。

ミカと会う日も、仁蔵は自宅の庭でおかしな行動をとる。どうやら見えない何かと必死に格闘しているらしい。困惑するヤヨイとイズミ。「死んだことに気づかない者や、未練があってその辺ふらふらしてる者には生きてる人間に悪さする輩がいて、そういうときは戦わなきゃいけない」。ヤヨイによると、仁蔵はそんな妄言を口走っていたという。後ろ髪をひかれながらも家を出るイズミに、御守を持っていくよう告げる仁蔵。

待ち合わせ場所に遅れてやってくるミカ。久々の再会を喜び昔話に花を咲かせるふたりだったが、しばらく疎遠だったからかどこかぎこちない。ある閑散としたホテルのレストランに入ると、ミカが結婚するつもりだと切り出した。ただ彼は借金まみれで、ヒモ同然のダメ男らしい。心配するイズミは、トイレに立ったミカの彼氏からの着信に気づき、思わず出てしまう。すると彼氏からいきなり罵倒される。結婚は辞めた方がいいと忠告するイズミに怒るミカ。「携帯出たの?そんな偽善ぽいところ変わってない!」思わず逆切れするイズミ。「あんたも約束守ったこと一度もないでしょ。彼氏だってとったし!」。ふたりの間に亀裂が走ったとき、ヤヨイから仁蔵がまた失踪したと連絡が入る。

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家へ帰ろうと立ち上がるイズミだが、何故か出口が見当たらない。ホテルに閉じ込められ、出口を求めてさまようふたりは、ある部屋の前に辿り着く。「666」――。そうナンバリングされた扉を見て、過去の記憶が甦るイズミ。子供の頃、ミカとこの部屋に迷い込んで出られなくなったことを。そしてミカも思い出す。この部屋に棲む女と禁断の約束を交わしたことを。そのとき壁が開き、赤い着物を着た首の長い女が突如現れてつぶやく。

「ヤ…ク…ソ…ク…」。

ここから脱出するため、そして何よりも友人を守るため、イズミは祖父から受け継いだ御守を手に立ちあがるが……。

©2014 雨宮慶太/ロクロク製作委員会